転職を考えた際に、多くの転職サイトに登録するのが一般的です。
その中でも、最近は「スカウトメール」が主流になりつつあります。
事前に転職者が登録した履歴書を元に、企業側が候補者にアプローチをする方法です。
一見すると、「自分の能力や経験が評価されている」と糠喜びしてしまう事もありますが、このスカウトで転職に失敗する人は少なくありません。
今回は、多くの転職を経験してきた私の経験を踏まえて、スカウトメールで失敗しないための情報をお話したいと思います。
スカウトメールを真に受けるべきでない理由
スカウトメールを受け取ると、「自分のスキルが評価された」と感じ、嬉しく思う方も多いでしょう。
転職を考えている際に、企業から直接アプローチがあると「これは良い機会かもしれない」と思いやすいものです。
しかし、実際にはスカウトメールを真に受けることで転職後に後悔するケースも多く、慎重な判断が必要です。
スカウトメールの裏には企業側の事情や戦略が隠れており、その意図を冷静に見極めなければ、思わぬリスクを抱え込むことになりかねません。
スカウトは多くの候補者に一斉送信されていることが多い
スカウトメールには「あなたの経験がぴったりです」「今のスキルを活かせます」といった文言が盛り込まれており、一見すると個別に評価された特別なメッセージのように見えることが多いです。
しかし、実際には多くの求職者に一斉送信されているケースがほとんどです。
企業の多くは採用ツールを活用して一定条件の候補者にまとめてスカウトメールを送信し、その中から反応を見て面接へと進める戦略を取っています。
そのため、メールの文面で特別感を感じても、「あなただけのため」ではないことが多いのです。
このようなスカウトメールは、企業にとっては「まず反応を確認する」というアプローチであるため、返信しても面接に進めるかどうかは別の問題であることも少なくありません。
魅力的な条件が現実と異なることがある
スカウトメールには、「年収アップ」「リーダー職での採用」「ワークライフバランスの良い環境」など、一見すると良い条件が揃っていることが多いです。
これは、応募者の興味を引き、積極的に応募してもらうための「求人マーケティングの一環」とも言えます。
しかし、これらの条件が面接の段階や入社後に覆るケースがあるため、安易に信じるのは危険です。
例えば、年収アップの条件が「結果次第で」「インセンティブに応じて」という曖昧な表現であったり、実際の業務内容が異なることも多々あります。
スカウトメールの内容は必ずしも事実ではなく、入社前に詳細な確認が必要です。
企業の急な人手不足による場合がある
企業側の事情で急募ポジションが発生すると、通常よりも積極的なスカウトが行われることがあります。
このような場合、短期的な人材不足を埋めるためのスカウトであることが多く、長期的なキャリアビジョンに一致しない場合があります。
特にプロジェクトの一時的な増員が目的の場合、当面の業務が終われば別のポジションや異動が生じる可能性が高く、入社後に求めていた仕事と異なる業務を任されるリスクがあります。
そのため、スカウトメールの内容に惹かれた場合でも、急募の背景や長期的な業務内容についてしっかり確認する必要があります。
例えば私の会社でも、急遽空いたポジションのための採用活動をしますが、夜勤もあるシフト勤務であることを隠して採用活動をするように指示されます。
そして、実際に面接の中で「シフト勤務になる可能性もある」ということを伝えます。
よくある話だと思いますが、最初から悪い部分を書いてしまうと募集が集まらない場合は、こういった小賢しいことをする事も多々あるのです。
キャリア形成に役立たない場合がある
転職の目的がキャリアアップやスキル習得である場合、スカウトの内容が自分のキャリアビジョンに合致するかどうかを慎重に見極める必要があります。
企業からのアプローチがあっても、企業側が求めるスキルや役割が自分の成長に繋がらない場合、長期的に見てキャリア形成が滞る可能性があります。
特に、スカウトによる転職が「とりあえずのポジション」になってしまうリスクも考慮する必要があります。
例えば、来年の1月～3月は希望のポジションの仕事ができたとしても、その後は社内で空いているプロジェクトに配属される。
このような場合、最初は希望した部署だったものの、その後は興味のない仕事を転々とする羽目になることもあるのです。
実際の職場環境とのミスマッチが生じやすい
スカウトメールの段階では、企業の雰囲気や人間関係といった社内環境については触れられていないことがほとんどです。
そのため、条件や仕事内容に興味を持っても、入社後に社風が合わないと感じてしまうことが多くあります。
特に、メール上ではポジティブな情報が中心であるため、入社後に想定外の雰囲気やチームの雰囲気にギャップを感じやすいのです。
スカウトを受けた際には、できるだけ企業の口コミや評判を調査し、働く環境についても理解しておくことが大切です。
実際の仕事内容が異なるケースが多い
スカウトメールに記載されている内容が実際の業務内容と異なることはよくあります。
例えば、「リーダー職採用」とされていても、実際には現場でのサポート業務が主であったり、「裁量が大きい」とされていても、日常業務はマニュアル化されているケースなどです。
仕事内容の詳細は事前にしっかりと確認し、自分のスキルや経験がどのように活かせるかを明確にすることが重要です。
企業側の立場を考えると、
「実際に働いてみて、リーダーの素質がないと判断した場合」
などは、どうしても違う業務をしてもらう必要があるなど、採用側のリスクも大きいため、こういったギャップが生まれてしまうのです。
スカウトメールのリスクを回避するためのポイント
スカウトメールのリスクを回避するための具体的なポイントを理解し、慎重に行動することが求められます。
スカウトメールの出所を確認する
まず、スカウトメールがどのような企業から発信されているのかを確認することが重要です。
信頼できる企業や知名度の高い企業からのスカウトメールは、一定の安心感を提供しますが、逆に怪しい企業や名前を知らない企業からのメールには注意が必要です。
スカウトメールの出所を確認し、企業のウェブサイトや評判を調べることが基本です。
具体的には、以下のようなポイントをチェックしましょう。
– 企業名と業種の確認: メールに記載されている企業名や業種をしっかりと確認し、実際に存在する企業であるか、過去の業績や評判を調査します。
– 口コミや評判の確認: 企業の評判を確認するためには、転職サイトやSNS、口コミサイトを利用し、実際にその企業で働いている人や過去に働いていた人の意見を参考にします。特に、悪評が多い企業からのスカウトメールは警戒する必要があります。
特に注意するべきは「転職エージェント」です。
最近は転職エージェントを利用するのが当たり前になっていますが、転職エージェントは
「転職をさせれば、仲介料で報酬がもらえる」
という仕組みです。
そのため、転職者のキャリアプランを無視したり、転職が不要な人を無理やり転職させるようなケースもあるそうです。
「誰がどのような目的で転職を勧めているのか。利益を得るのは誰か」
は、常に意識してスカウトメールを確認するようにしましょう。
条件の具体性を確認する
スカウトメールには、年収や職務内容などが書かれていることが多いですが、その内容が具体的であるかどうかを確認することが大切です。
例えば、「高収入」や「キャリアアップ」といった曖昧な表現ではなく、実際にどのような職務内容で、どの程度の年収が見込めるのかを具体的に聞き出すことが必要です。
企業が提示する条件があまりにも魅力的であれば、逆に注意が必要です。
以下のポイントに留意しましょう。
– 具体的な職務内容の確認: 企業が求めるスキルや職務内容について、どのような業務を担当するのかを具体的に尋ね、納得できる説明を得るようにします。
– 年収や待遇の詳細を確認: 年収や福利厚生についても、あいまいな表現が多い場合は詳細を確認し、自分が期待する条件が満たされるかどうかをチェックします。
企業文化や職場環境をリサーチする
スカウトメールに含まれる情報は、必ずしも企業の実情を反映しているわけではありません。
特に職場環境や企業文化については、実際に働いている社員の意見を聞くことが重要です。
入社後のミスマッチを避けるために、事前に企業文化や職場環境をリサーチすることが必要です。
具体的には次のような方法があります。
– 社員の口コミを確認する: 転職口コミサイトやSNSを利用して、企業の社員がどのような意見を持っているかを確認し、企業文化や職場環境についての理解を深めます。
– OB・OG訪問を行う: 可能であれば、企業のOB・OGに連絡を取り、実際の職場環境や働き方についての情報を得ることが有効です。
転職の目的を明確にする
スカウトメールに惹かれてしまうこともありますが、転職の目的を明確にすることがリスクを回避するためには非常に重要です。
転職活動を行う際は、自分がどのようなキャリアを築きたいのか、どのようなスキルを身につけたいのかをしっかりと考えましょう。
自分のキャリア目標が不明確であると、企業の提案に流されやすくなります。
以下のポイントに気をつけると良いでしょう。
– キャリア目標の設定: 自分が今後どのようなキャリアを築きたいのか、どのようなポジションを目指しているのかを明確にし、その目標に合った企業を選択します。
– スキルアップの意識: 転職によってどのようなスキルを身につけたいのかを考え、そのために必要な経験が得られる職場かどうかを判断します。
実際の面接での印象を重視する
スカウトメールを受け取った企業との面接では、実際の雰囲気や企業の方針についてより具体的な情報を得ることができます。
面接時には企業側の姿勢や方針、チームの雰囲気について注意深く観察しましょう。
実際の面接での印象が、自分の判断に大きな影響を与えることがあるため、重要なポイントです。
以下の点に留意しましょう。
– 面接時の質問: 面接では、業務内容や職場環境に関する質問を積極的に行い、自分が気になる点をしっかり確認します。
– 企業の回答や態度の観察: 面接時の企業の回答や態度、雰囲気に注意を払い、自分の希望と合致するかどうかを見極めます。
最後に冷静な判断をする
スカウトメールを受け取ったときの興奮や期待から冷静さを失うことは避けるべきです。
スカウトメールに対する反応は、しっかりとした判断基準に基づくものでなければなりません。
以下のポイントを念頭に置きましょう。
– 情報収集を徹底する: スカウトメールが来た際には、企業について徹底的に情報収集を行い、判断材料を増やします。
– 自分の気持ちを整理する: 転職の決断を下す際には、自分の気持ちを整理し、本当にその企業が自分に合っているのかを考える時間を設けます。
まとめ
スカウトメールは魅力的なチャンスを提供する一方で、リスクも伴います。スカウトメールの出所を確認し、条件の具体性を確認し、企業文化や職場環境をリサーチし、転職の目的を明確にし、面接での印象を重視し、最後に冷静な判断を行うことが重要です。
これらのポイントを抑えることで、スカウトメールのリスクを回避し、自分に合った転職を成功させることができるでしょう。
冷静に、そしてしっかりとした判断を持って転職活動を進めていくことが求められます。
