システムエンジニア(SE)は、情報技術分野において欠かせない存在ですが、過酷な労働環境や過度なプレッシャーにさらされることが多い職種でもあります。
多くの企業では、システムエンジニアが「使い捨て」されるような労働環境が問題視されています。
この記事では、システムエンジニアが使い捨てされる背景やその問題点について詳しく解説し、長く働き続けるための方法について考えていきます。
自身のキャリアを長期的に考えながら、実践的なヒントを見つけてください。
私自身は、現在SIerで働いていますが、「使い捨てにされてるな」というエンジニアと「重宝されているな」と思うエンジニアが比較的はっきりと別れています。
また、管理職会議では、そういった人材配置にも参加しており、リアルな現場の話を交えながらお伝えできればと思っています。
システムエンジニアが使い捨てされる背景
システムエンジニアが使い捨てされる要因は、業界特有の問題や働き方に起因しています。
以下に、主な原因を挙げていきます。
労働環境の過酷さ
システムエンジニアは、プロジェクトの進行に合わせて長時間労働を強いられることが多く、納期のプレッシャーも大きいです。
特にシステムの導入やリリース直前には、連日の残業や休日出勤が当たり前になりがちです。
私自身も、私しか把握していないプロジェクトで、急遽トラブルが起こったときに、帰宅途中だったのを、会社に戻って対応した経験もあります。
こうした過酷な労働環境が続くと、心身ともに疲弊しやすく、最終的には退職を余儀なくされることが多くなります。
成果主義の影響
IT業界では成果主義が主流となっているため、成果を出せない社員には厳しい評価が下されがちです。
システムエンジニアは高度な専門知識が求められる一方で、成功や失敗が数字に直結しやすく、評価がシビアな傾向があります。
私の会社でいうと、お客さん先の業務を請け負う際に
「1人月◯万円」
という単価で見積もりを出します。
ということは、
「本人の能力的にこれ以上お客さんからお金をもらえない」
と感じてしまうと、どうしても対策を考える必要があります。
ここで、本人の努力の有無に関わらず、能力が足りない状態が続けば、
・給料を下げる
・切り捨てる
という選択肢を余儀なくされることがあります。
特に昨今は不景気で、中々お客さん側も支払いを渋ることが出てきました。
特にSESなどの業種では、私がいるSIerよりもこの動きは顕著なのではないかと思います。
このような成果主義の文化が、システムエンジニアに対する「使い捨て」意識を助長していると言えます。
スキルが不要な仕事の増加
近年、システムエンジニアの仕事の中でもスキルがあまり必要とされない業務が増加しています。
その結果、技術的な能力が十分でないエンジニアがこうした業務に回されることが多くなり、スキルを磨く機会が減少しています。
例えば、私の会社でも
・お客さん先の雑務
・システムの監視部隊
などは、スキルをあまり必要としない仕事で、会社としては
「それでもお金になっているから続けたい仕事」
です。
こういったときに、夜勤も有りの仕事だと、辞めたいと思う人が多いですし、スキルがつかない仕事をしたがらない人も多いです。
ですが、現状スキルがない人や、勤務態度が良くない人に対して、こういった仕事を回す事も多々あります。
なぜなら、スキルが有る人は、もっと高い仕事をさせた方が会社としても得だからです。
こうした背景が「使い捨て」の要因となり、エンジニアとしての成長が見込めず、結果として短期間での離職につながることが多くなります。
システムエンジニアが使い捨てされることの問題点
システムエンジニアが使い捨てされることには、個人のキャリアや健康に大きな悪影響を及ぼします。
以下にその具体的な問題点を解説します。
メンタルヘルスの悪化
システムエンジニアは、高いストレスにさらされることが多く、うつ病やストレス障害などのメンタルヘルスの問題を抱えやすい職業です。
特にプロジェクトの納期が迫っている時期には、プレッシャーが増し、心の健康が大きく損なわれるリスクがあります。
これにより、職場復帰が困難になるケースも少なくありません。
キャリアの断絶
システムエンジニアとして働き続けるには、常に最新技術に追随する必要があります。
しかし、過酷な労働環境や短期的なプロジェクトが多いため、スキルを十分に磨く余裕がなくなることがあります。
その結果、キャリアが途中で断絶し、別の職種に転職せざるを得ない状況に追い込まれることもあります。
過酷な環境以外にも、前述したように
「スキルがつかないお客さんの雑務」
のような仕事は、何年いてもスキルが磨かれず、転職が難しくなる事も多々あります。
そのため、真綿で首を絞められるかの如く、徐々にキャリアが断絶されていくことがあります。
業界全体の信頼性の低下
システムエンジニアが頻繁に使い捨てられるような状況が続くと、業界全体の信頼性も低下します。
システムエンジニアという職業が「過酷で報われない仕事」というイメージが定着することで、将来的に優秀な人材がIT業界に参入しにくくなり、業界全体の成長が停滞する可能性があります。
システムエンジニアとして長く働き続けるための方法
システムエンジニアとして使い捨てられることなく、長く働き続けるためにはいくつかのポイントがあります。
以下に、実践すべき対策を挙げてみましょう。
スキルの多様化を図る
システムエンジニアは特定のスキルだけでなく、幅広い技術に精通することが重要です。
たとえば、プログラミング言語だけでなく、プロジェクトマネジメントやコミュニケーションスキルも積極的に学ぶことで、柔軟に対応できる力を身につけましょう。
多様なスキルを持つことで、職場内での価値が高まり、使い捨てられにくくなります。
私自身もそうですが、
「単にシステムが作れるだけ」
だと評価されにくく、
・自分でビジネスをやってきた経験
・マーケティング知識
・教育の経験
などを買われて、管理職についています。
自分自身のキャリアビジョンによっても変わりますが、こういったスキルの多様化を図るのも、1つの方法でしょう。
ソフトスキルを磨く
技術力はもちろん重要ですが、ソフトスキル(対人スキルやコミュニケーションスキル)も欠かせません。
周囲との連携やクライアントとのコミュニケーション能力を高めることで、プロジェクトにおいて信頼される存在になります。
ソフトスキルを持つエンジニアはプロジェクトの要となり、簡単に使い捨てられることなく、長期的に重宝されやすくなります。
特に顧客折衝力に関しては、業界でも得意な人ややりたがる人が少ないです。
そのため、そういったスキルも磨いていくことで、長期的なキャリアを考えることができるでしょう。
ワークライフバランスを重視する
システムエンジニアは忙しい職種ですが、過労が続くと体調を崩しやすくなります。
プライベートな時間や休息を大切にし、自己管理を徹底することで、健康を維持しながら仕事を続けることが可能です。
適度な休息を取ることは、長期的なキャリアを考える上で非常に重要です。
また、前述したように「1人月いくら」という契約形態の場合には、
「仕事が早ければ、その分利益率が上がる(他の仕事も空いた時間にできるから)」
というのが一般的です。
そのため、同じスキルセットでも、1時間あたりの作業量が多い方が会社としては重要です。
私の会社でも、
「自分の業務しかできない人」
と
「自分の業務に加えて、少しずつ社内のマニュアルや教育に手を出せる人」
との間には、非常に大きな扱いの差があります。
そうなるためには、プライベートを充実させることで、仕事に集中力を持って取り組む姿勢が重要になってきます。
キャリアパスを明確にする
将来のキャリアについて目標を持ち、計画的にスキルアップや転職活動を行うことが大切です。
目先の仕事に追われるだけでなく、自分の成長やキャリア形成に意識を向けることで、使い捨てされないための対策が取れます。
キャリアパスを明確にすることで、モチベーションも維持しやすくなります。
特に日本人は、プライベートで勉強している人は非常に少なく、プライベートで勉強をしているだけでも重宝されるような企業は多いです。
企業側の取り組みも必要
システムエンジニアが長く働き続けられる環境を整えるためには、企業側の取り組みも不可欠です。
以下に、企業が取り組むべき改善策を紹介します。
労働環境の改善
企業はシステムエンジニアの長時間労働を見直し、適切な労働環境を整備することが求められます。
柔軟な働き方の導入や、プロジェクトのスケジュール管理を徹底することで、システムエンジニアの負担を軽減できます。
労働環境が改善されることで、システムエンジニアも安心して長く働き続けられるようになります。
メンタルヘルスのサポート
企業はエンジニアのメンタルヘルスをサポートする体制を整えることが必要です。
カウンセリングサービスや相談窓口の設置など、エンジニアが気軽に利用できる支援策を提供することで、心の健康を守りながら働ける環境を作ることができます。
まとめ:システムエンジニアが安心して働ける環境づくりを目指して
システムエンジニアが使い捨てされる現状は、業界の労働環境や成果主義、スキルの消耗など複合的な問題から生じています。
しかし、エンジニア自身がスキルやキャリアを見直し、企業側も労働環境やキャリア支援の改善を行うことで、使い捨てられずに長く働き続けることが可能になります。
個人と企業が協力してより良い労働環境を作り出すことで、システムエンジニアが安心してキャリアを築ける未来が開けるでしょう。
本記事を参考に、システムエンジニアとしてのキャリアを見直してみてください。
また、自分のキャリアを考えた上で、
「今の本業は程々にして、副業で頑張る」
という選択肢を取るのも1つの手段です。
このサイトでは、副業や投資についても触れていますので、是非他の記事もご参照ください。