多くの人が目指している「FIRE」。
かなり認知が拡がっているこの考え方ですが、一方で、
「そんなの無理じゃない?」
なんて声も聞こえてきます。
多くの人にとって、仕事を辞めて自由にお金を使える人生というのは、想像もつかないでしょう。
しかし、諦めるにはまだ早いです。
FIREと一言で言っても、実は色々な意味合いがあります。
今回はこのFIREの種類を知り、
「自分に合ったFIRE」
をするための方法をお話していきます。
それぞれのFIREの特徴と、それに必要な資金についても説明していますので、自分の人生プランをしっかりと考えてみて下さい。
FIREを目指す上での大前提
まずは、FIREを目指す上での前提をお話したいと思います。
FIREを目指すなら、基本的には
・長期間投資をする(少なくとも15年以上)
・インデックス投資を行う(主に全米株式か全世界株式)
・サラリーマンとして働きながら資産を増やす
ということを前提にします。
副業をするか否かは個人によりますし、どの程度投資にお金を回せるかも個人によります。
しかし、上記の3つの条件を満たした上でお話を進めていきます。
更に、その後の必要資産額に関しては、一般的なFIREの出口戦略である
「4%ルール」
の元で運用する事を前提にします。
4%ルールの詳細は別途記事で。
FIREの4つの種類と特徴
では、早速FIREの種類とその特徴について見ていきましょう。
ファットFIRE
ファットは、英語で「太っている」という意味。
太れるくらいに裕福な状況を表しており、一般的に考えられる
「アーリーリタイア」
は、このファットFIREです。
特徴としては、
・生活費以外にも余裕がある投資収益が毎年得られる
・旅行や贅沢をできるだけの投資収益が入ってくる
・基本的にリタイア後に倹約や節約の必要はない
・リタイア時に大きな資産を作っているので、高収入な人や起業家が多い
といった感じです。
FIREをする人の中には、
「FIREすることそのものが目的」
の人もいます。
そういった人は、一刻も早く仕事を辞めたくて、生活費ギリギリの状態でFIREしてしまうことがあるのです。
この対極とも言えるのがファットFIREでしょう。
自由に使える金額が大きい分、必要な資産額も非常に大きく、いわゆる富裕層と言われる人だけが達成できるようなFIREになります。
リーンFIRE
リーンとは、英語で「痩せている」です。
先ほどのファットFIREとは反対に、
「ギリギリの生活費で引退を目指す」
ものです。
特徴としては、
・すぐにでも仕事を辞めたい
・最低限の生活費を投資で確保できるようにする
・普段から質素倹約を心がける
・資金に余裕が無いのでFIRE後には家賃の安い場所に引っ越す
・サラリーマン時代の収入が低いケースが多い
などです。
例えば生活費が月に最低で15万円必要だとすると、年間180万円ほどです。
そのため、投資収入が年間200万円程度を目指してFIREをするような方法です。
資産額が少なくてFIREできるため、普通の人でも可能な方法である反面、
「何かあったときの保険が効かない」
という状態です。
税金や保険料が上がって苦しくなる可能性なども考えられます。
また、最低限の生活を基準にしてしまうと、友達付き合いも少なくなりますし、旅行などの趣味に充てるお金もなくなります。
かなり制限が多い引退生活になる可能性があるでしょう。
サイドFIRE
サイドFIREは、
「ちょっとした仕事をしつつ、投資収益と合わせて生活する」
というスタイルです。
例えば、
投資収益:100万円/年
アルバイト:100万円/年
という状況です。
ファットFIREとリーンFIREは、基本的に仕事をしないような生活スタイルですが、サイドFIREは、
「働く時間を減らして、ワークライフバランスを整える」
というようなイメージの人も多いです。
適度に人間関係も得られますし、資産が前述の2つよりも少なくて済みます。
また、急に社会情勢が悪くなったときに、職歴を開ける事はないため、再就職もしやすいのが特徴です。
場合によっては、副業を個人事業主としてビジネスをし、事業が成長してきたらファットFIREに切り替える事も考えられます。
特徴としては
・資産はファットFIRE/リーンFIREよりも少なくても可能
・労働収入と投資収益の調整が可能
・一般的にはサラリーマン+副業で資産を作り、サラリーマンを辞めて達成する
というものです。
サイドFIREとバリスタFIRE
ちなみに、バリスタFIREという考え方もあり、サイドFIREとバリスタFIREの違いは、労働収入の部分が
サイドFIRE:雇用される(アルバイト・パート)
バリスタFIRE:個人事業主
と考えるケースもあります。
今回はこれらを合わせてサイドFIREと分類します。
コーストFIRE
コーストFIREは、他のFIREが
「仕事を辞める前提」
で進めるのに対して、
「老後困らない投資収入を得ることが目的」
で行うものです。
例えば、現在の定年は65歳ですが、例えばリーンFIREでは、
「40歳までに4000万円を貯めて、引退する」
という事を目指します。
反対にコーストFIREでは
「65歳定年で働く。その上で老後に必要な投資収入が月10万円だから、それに向けた資産形成を現役時代に行う」
というものです。
特徴としては
・仕事が好き
・安定した企業で働いている
・若い段階である程度の資金を投資に回している
・現役時代の収入は自由に使って人生を謳歌する
などが挙げられます。
4種類のFIREに必要な資金は?
では、次にそれぞれのFIREで必要な資産額を考えていきましょう。
もちろん、人によって目標や生活費が違いますから、一概には言えませんが、一つの指標として見ていただければと思います。
ファットFIRE
まずはファットFIRE。
これは、何不自由なく生活ができる事を前提にしていますが、「何不自由なく」というのは人によって異なりますね。
なので、この記事では下記のように定義します。
・生活費:日本の平均年収である約400万円の2倍の800万円
・年2回の海外旅行100万円×2回で200万円
・趣味娯楽費に月10万円×12ヶ月で240万円
これらを合算した1240万円。
これを得られる資産を計算します。
すると、約4億円になります。
4億円の資産があれば、そのうち4%である1600万円を引き落とす。
そして、税金で2割程度引かれるので、使えるのは1280万円です。
これだけの金額があって、ようやくファットFIREが可能なのです。
かなり厳しいですね笑
一般的な生涯賃金の2倍を全て投資に回してようやく達成できる世界。
起業などで稼ぐか、もしくは
「高収入+倹約+長期投資」
で目指すしかありません。
例えば、年収2000万円で月の生活費が10万円(年間120万円)。
手取り金額で考えれば、大体年間1000万円ほどが投資に回せるでしょう。
その状態で40年続ければ、数字だけ見れば可能です。
(その間の投資収益があるので、大体30年ほどで達成できる可能性があります)
しかし、年収2000万円のハードルも高すぎて、一般人からすると不可能な数字ですね。
なので、基本的にファットFIREを目指すのはオススメできません。
どこかに無理が出てきて、最終的に心身を壊す危険性もありますので。
リーンFIRE
リーンFIREに必要な金額としては、最低限の生活費を月15万円とし、
15万円 × 12ヶ月 = 180万円
これにちょっとした余剰資金として20万円を追加した200万円で計算しましょう。
6500万円の資産を用意したとすると、この4%で、260万円。
税金が引かれて208万円が手元に残ります。
月15万円の生活だと、
家賃:5万円
食費:3万円
水道光熱費:1万円
通信費:1万円
被服費:1万円
交際費:2万円
雑費:2万円
このくらいの生活が限界です。
先程も述べたように、友達付き合いも制限されますし、趣味に割くお金は雑費と交際費から少し捻出する・・・というようなイメージです。
それでも、1億円以下でFIREが達成できるということですから、希望を持てる人もいるのではないかと思います。
仮に月に20万円の収入があり、実家ぐらしで月15万円を投資に回せる人であれば、年間180万円。
年利7%のインデックス投資で積立投資していると、約18年で達成可能です。
更にボーナスを含めれば、15年で達成することも不可能ではありません。
25歳でスタートして、40歳になる頃には仕事をしなくても良くなる。
これは、若い人からするとかなり希望に感じるのではないでしょうか。
また、リーンFIREでは、更に生活費を下げることを目指す場合もあります。
例えば先程は生活費を15万円に設定しました。
しかし、地方に住んだり、多少の家庭菜園などをするようになれば、
家賃:2万円
食費:2万円
水道光熱費:1万円
通信費:5000円
被服費:3000円
交際費:1万円
雑費:1万円
上記の計算で生活ができれば、約8万円の生活費でよくなります。
そうすると、6500万円必要だった資産額は一気に3500万円ほどに減ります。
実家ぐらしで一気に貯めることができれば、場合によっては5年から10年ほどで達成することも可能でしょう。
ただ、投資は期間が短ければ短いほどリスクが大きくなりますので、このあたりを考慮した上で将来設計をしていく必要があるでしょう。
サイドFIRE
次に、サイドFIREです。
サイドFIREでは、ちょっとした仕事をしながら投資収益で生活をします。
そのため、生活費を月20万円とし、そのうち10万円を労働で稼ぐようにすれば、月10万円ほどが投資からの収益で必要になります。
結果、リーンFIREの2つ目のパターンより少し多い4000万円ほどで達成が可能な計算になります。
また、労働と投資の割合が重要なサイドFIREでは、
労働:月15万円
投資:月5万円
という風に変えることで、必要な資産額を2000万円程度に下げることも可能です。
サイドFIREの強みの一つとしては、
「リーマンショックなどのような金融危機が起きたタイミングだけ、資産の取り崩しを止めて労働収入だけで生活する」
という選択肢が取れることです。
一時的に労働収入が増える時期ができてしまいますが、一つの思い出として楽しめる可能性が高いです。
また、その分資産を長く保たせる事ができるので、心の余裕が生まれます。
コーストFIRE
最後にコーストFIREについて。
コーストFIREでは、若いうちから投資をしていき、老後に必要なだけの資産収入を得られる準備をします。
例えば、年金が月に15万円ほど得られる計算から、投資からの収益は月に10万円で十分だと判断したとします。
そして、それに必要な資産額はサイドFIREのときと同じで4000万円ほどであると試算したとします。
これを、30歳までに貯めてそれ以降は追加投資無しで計算すると、定年までに35年間あります。
年利7%で計算した場合、複利の効果で税引き後の利益で560%ほどの利益が発生する計算になります。
すると、750万円ほどの資産が30歳のときにあれば、複利で定年時には4000万円が作れる計算です。
仮に新卒の22歳から30歳までの8年間に、年間100万円。
月に8万円を貯めることができていれば、それだけでコーストFIREは達成が可能です。
しかも、30歳以降は追加投資なしなので、給料は多少の貯金以外は全額使えます。
つまり、給料の範囲内で買えるなら、家や車を購入することも十分に可能であると言えます。
コーストFIREが強い点としては、
「しっかりと定年まで働くことを前提にしているので、年金がしっかりともらえる」
という事。
他のFIREの場合は、労働している期間が短くなることを前提に動いているので、年金は少なくなります。
早ければ早いほど年金額も下がります。
更に、厚生年金に関しては、年収に比例してもらえる金額が決まります。
早くに引退してしまうと、本来は役職について年収が高くなる中高年を、サラリーマンとして働いていない事になります。
なので、年金額はかなり下がってしまうのが普通なのですが、コーストFIREではそれがありません。
年金は、死ぬまでもらえるので、資産が目減りするストレスなどもありません。
そのため、これらを有効活用できるのがコーストFIREという選択肢なのです。
どのFIREが良いのか?
では、4種類のFIREを見てきましたが、これから目指すのであればどの選択をするのが良いのか。
個人的には、サイドFIREもしくはコーストFIREを目指すのが良いと考えています。
ファットFIREは、よほどの人でなければ実現が困難です。
そして、リーンFIREは人生の選択肢が限りなく狭まります。
そのため、この2つの方法はオススメできません。
サイドFIREにするか、コーストFIREにするか。
これは、どのような生き方がしたいのかによって変わるでしょう。
例えば、サイドFIREを選ぶ際には
・自由な時間
・フルタイム労働のストレスからの解放
・人付き合いの回避
・責任のある仕事の回避
などを主軸にする場合が多いです。
アルバイトでのびのびと働きながら生活するスタイルや、個人事業主として好きな仕事だけをするようなパターンのFIREです。
反対に、コーストFIREは
・今自由に使えるお金
・仕事による達成感
・自由に意見ができる環境
・多くの人との関わり
などを重視する場合におすすめです。
サラリーマンとして仕事をしていなければできない事もあります。
例えば、ロケットを開発する事は、個人では難しく企業に入るか、自分で起業する以外に選択肢がなくなってきます。
こういった仕事をすることに、楽しみや充実感・誇りを感じるような場合には、それ自体が人生を豊かにしてくれます。
その上で、将来のお金の不安から解放される。
そういった意味合いで目指す事も多いのがコーストFIREです。
ちなみに、私自身の話をすると、サイドFIREを目指しています。
まだ資産額としては十分ではありませんが、現在はサラリーマン収入と副業収入によって、徐々に資産額が増えています。
サイドFIREを選んでいる理由としては、サラリーマンという働き方が苦手だという事が大きいです。
やりたい仕事は、大企業でなくてもできるような仕事ばかりです。
ちょっとしたカフェやイベントスペースなど、友達とその友達くらいを呼んで楽しめる範囲のものであったり、ネットで完結するような仕事に興味があります。
あとは、友達がやろうとしているビジネスに乗っかって一緒に作り上げていく。
この文化祭感も、メンツ次第では楽しいだろうなと思っています。
しかし、それをする上でサラリーマンという働き方は不向きです。
そのため、コーストFIREではなくサイドFIREを目指しているのです。
まとめ
今回は、4種類のFIREの特徴やそれぞれに必要な資産額について見てきました。
FIREは、今や若者を中心に目指すべき生活スタイルとして定着しつつあります。
「何のための人生なのか。働くために生まれてきたのか」
この疑問に対する1つの答えなのかもしれませんね。
このサイトでは、
「副業と出世で収入を増やし、投資でFIREを目指す」
という事を主軸においています。
これまでFIREを考えたこともなかった人も、副業で収入が増やせれば、将来のお金の不安は一気に減ります。
ですので、是非この機会に副業を検討してみてはいかがでしょうか?